THE 倒産!


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「債権者」に対して、事前にできること…。

「債権者」とは、つまり倒産時に支払いができなくなって、迷惑をかけてしまう先のことです。
この「債権者」の中に、闇金や恐い筋からの借入が入っていると、問題はややこしくなります。
会社のお金のやりくりが苦しくなってくると、経営者はいろいろな方法でお金を工面することになります。
金融機関から融資を受けたり、取引先に支払いを待ってもらったり…。
でも、どうしても支払いのお金が足りない時、ほんの少し先になれば収入の当てがある時などに、いわゆる消費者金融等手軽にお金が借りられる方法を利用したりします。
ほんの数日で入金があるので、すぐに返せるからちょっとだけ…。
こうした考えで、金利の高い融資に手を出すことが、その後大きな問題になっていきます。
消費者金融から、闇金融へ…。
会社の資金繰りは、一度苦しい方向へ転がり始めると、余程何か大きな変化がない限りはどんどん勢いがついて苦しく転がっていくものです。

 

自分の場合、倒産手続き時の「債権者」は、金融機関が8割。
一般取引業者さんが2割といった所でした。
いわゆる闇金や、裏の「債権者」はありませんでした。
従業員さんの給料は、会社にお金があれば最優先で保障されますので、どこで倒産手続きをするのか…ということが、経営者の最後の責任になると思います。

 

最後の最後までねばってねばって、会社という飛行機を行けるところまで行って墜落させるのも考え方だと思いますが、ある程度安全と思える場所を見つけた時に、そこに思い切って胴体着陸してしまうのも考え方だと思います。

 

自分は、後者でした。

 

どうしても、被害は出てしまいます。
出る被害を最小限に…という考え方で決断しました。
もっと、ねばってねばって飛び続けていれば、もっと飛んでいられたと思います。
でも、そうして長く飛んでいたら被害が大きくなると判断しました。

 

よく、TVドラマ等で、倒産した会社や経営者の自宅に「債権者」が押し掛けるような場面がありますが、お金が回収できない「債権者」は、こうして責任者である経営者を追い詰めます。
自分の場合も、倒産手続きを申立てた後は、こうした「債権者」対応に飛び回りました。
会社に押し掛けてくる業者さんもありますし、自分の携帯電話は鳴りっぱなしでした。
債権額の大きい「債権者」さんから順に、自分が説明に回りました。
ここで、自分自身ができる限りのことを考えて判断したことを一生懸命にただひたすら話しました。

 

一般取引業者さんの中で、支払が何ヶ月かまとまっている業者さんには、倒産手続き前の段階で一部の金額を入金させてもらいました。
倒産手続き申立時に、取引業者さんの債権額がそれぞれ取引1ヶ月分位の金額になるようにさせてもらいました。
本来、倒産申立前は支払いはストップして会社にお金を残しておいて、裁判所の保全処分を受けるのが普通のようですが、自分は申立前に払える分は払わせてもらいました。
それでも、やはり「債権者」の方々には大きな迷惑をかけてしまう訳で、申立後会社に怒鳴り込んでくる「債権者」さんもありました。
でも、自分としては、できる限りのことをして、それでも迷惑をかけてしまう部分はただひたすら頭を下げるしかないと考えていました。
倒産手続き申立前に、業者さんに支払いをするなんて不自然な行動は、弁護士さんに相談したらおそらくストップがかけられるでしょう。
倒産手続きは、事前に周囲に察知されないように準備を進めないといけないと言われていました。
裁判所の保全処分が出る前に、「債権者」に知られてしまったら大変な騒ぎになるということで、会社でも申立前日まで幹部にも言わずに準備を進めました。
そんな中で、実は大きな迷惑をかけることになる業者さんには、事前に一部支払をしていたのです。
こうした会社の動きを見ていると、実は事前に察知できる行動をいくつか取っていたのです。

 

倒産手続き申立後、創業時からお世話になっていた取引業者さんへお詫びに行きました。
そこの社長さんが、顔を真っ赤にして怒りをまくしたてました…。
自分は、ただただ頭を下げていました。
ただ、最後に…、
「これだけ長い間つきあっていて、腹が煮えくりかえる思いです!…でも、この●日に一部を入金してくれているのを見ると…、その気持ちを考えると…、相談してくれればもっと何とか協力できたのに…、それが悔しいです…」
と言われました。

 

本来、激しく責められて当然のこと。
今まで住んでいた場所には住めなくなる経営者も多いもの…。
「債権者説明会」では、つるしあげられて土下座をして詫びる経営者の姿もよく聞く話…。
自分の「債権者説明会」では、終了後何人もの取引業者の社長さんから、「頑張ってください…」「長い間、ありがとうございました…」と声をかけて頂きました。
もちろん、大きな迷惑をかけた訳で、怒りを持ち続けている「債権者」さんもあると思いますし、これで問題が解決したとは思っていません。
ただ、何とかかける迷惑を小さくしたい…という思いで、事前に行動していたということはここに記しておきたいと思います。

 

「倒産」は、本当に多くの方々に迷惑をかけてしまいます。
前にも書いたように「倒産」に、「正しい」もへったくれもありません。
ただ…、

 

かけてしまう迷惑を事前にできるだけ何とかしたいと考えること…。

 

これが、「正しい…?倒産」の三つ目かと考えます。

 

 

(2009年6月8日発信)


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