THE 倒産!


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巻き込んでしまう家族に対して…。

自分には、妻と4人の子供たちがいます。
倒産手続き時、子供たちは上から小学4年の娘、小学1年の双子の息子、そして一番下の娘は2歳でした。

 

いよいよ倒産手続き申立を決意し、弁護士さんと指導専門コンサルの方と準備を始めましたが、この準備は会社幹部にも知られないように、経営者である自分と会社創業者である自分の両親だけが知るものでした。
会社は年商10億規模で動いていましたから、月の売上入金でも約8千万円ありますし、支払いも同額からそれ以上になっている訳です。
こうした会社の動きの中で、支払いを調整しながら、経理担当者にも誰にも知られないように倒産準備を進めるのは、まさに至難の業です。
通常の支払いの他に、支払っておきたい取引業者さんの支払いを指示し、同時に金融機関さん関係の支払いや返済は支払わない…。
できる限り一般取引業者さんの債権額は少なくしておきたいと思っていて、申し訳ないけど金融機関さんには泣いてもらうしかない…。
というのも、金融機関はいろいろな形で国が助けてくれるような制度になっているので、個人が責任を取って身ぐるみはがされることはないのですから、何とか一般業者さんにかける迷惑を少なくしたいと思っての判断になります。
金融機関への借入返済はストップ。リース料の支払いもストップ。
支払う支払と、支払わない支払を決めて、経理担当者に指示するのですが、「何故ですか?」と聞かれても正直に答えることはできません。
「倒産時の債権額を、調整したい…」なんてことは、口が裂けても言えません。

 

こうしたことを会社で進めながら、家族にどう話していくか…。
いろいろ悩みながら、まず妻に話しました。
会社の現状と、これから起こると予想される出来事…。
妻は何も言わず話を聞いていて、「やるだけやってダメなら仕方がないじゃない…」と言いました。
翌日から妻は仕事探しを始めました。
保育士の資格を持っていたので、ほんの数日である保育園の仕事を探してきて、勤め始めました。
2歳の娘は近所の保育園に預けました。
そして妻は、自分名義の銀行口座に、生活における各種支払引き落とし口座を変更していきました。
私自身の口座は倒産手続と同時に使えなくなりますので、その前にできることは動き始めました。
急に働き始めた妻の姿に、周りの人たちは「離婚するのか…?」と思ったようです。

 

そして、子供たち…。
おそらく新聞には、ある程度の大きさで取り上げられると思います。
学校で、何か言われるかもしれません。
何かあれば、しばらく学校を休ませようと思いました。
子供たちにも、心の準備をさせておかないと…とも思いましたが、もし話してそれをどこかで誰かに言ってしまったら、大きな問題になる恐れがあります。
でも、何も言わないでいる訳にはいかない…。

 

「会社っていうのは、良くなる時もあれば、ダメになっちゃっう時もあるんだ。…もし、ダメになっちゃった時は、お店がみんななくなっちゃうんだ。そして、会社の社長は会社で一番偉い人だから、みんなにあやまらないといけないんだ…」

 

こんなことを、なるべく明るく子供たちに話しました。

 

「でも、また頑張れば、大丈夫なんだよ…。お父さんは大丈夫なんだから、みんなも普通にしていればいいんだよ…。もし、そうなったとしても、みんな大丈夫なんだからね…。そうならないように、頑張るけどね…」

 

倒産手続前に、こんな話を子供たちに繰り返し話していました。

 

結局は、家族を巻き込むことになります。
自分自身が、できる限り明るくしていることで、周囲の人の不安感を少しでも和らげないと…。
冷静に考えれば、それまでの自分の持ち物はすべて失ったとしても、それからの日々で生活していけるだけの糧を得ることができさえすれば、何とかなる訳です。

 

どこでどんなに追い詰められようが、罵倒され、罵られようが、家族の前では笑顔で「大丈夫!」と言い続けることと思っていました。
もし、家族に何らかの影響が出た時には、すぐに引っ越そう…。
そうならない限りは、自分自身が「大丈夫!」と笑顔で言い続けよう…と。
倒産手続き後は、まず自分の休みなんて取れません。
家族と顔を合わせる時間はほとんどありません。
でも、顔を合わせた時は、笑顔で「大丈夫!」と言うこと…。

 

スポンサー会社に店舗が売却され、自分は丸2ヶ月後に1日休みを取りました。
この1日の休みは、家族で出かけました。
自分たち夫婦が出会った場所、昔の職場である某テーマパーク。
元職場という関係を使って、そのテーマパークで撮影する某TV番組に家族で出演…と、倒産手続き中の経営者としては考えられないような行動をさせてもらいました。

 

自分で使える時間は、すべて家族に使う!

 

家族があるからこそ、耐えられるのであって、自分の支えになっていたのは家族です。

 

ここの所、書いてきている「正しい…?倒産」の四つ目は、

 

家族をどう守るのか…?

 

ということ。

 

いや、もしかしたら、これが全てことの第一番目なのかもしれません…。

 

 

(2009年6月10日発信)


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