THE 倒産!


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「あの時の、あの失敗が…」

「あの時の、あの失敗が…」ということで先日取材を受けた。
倒産に至る経緯の中で、今にして思う「あの時のあの失敗」という出来事を質問されたのだが、こうした質問で自分が上げるのは、経営状況が悪くなった中で一発逆転を狙った新店出店のことだ。
一発逆転を狙うのでなく、現状の店舗の状況改善に集中すべきだった…ということを語ることが多い。

 

と、一発逆転を狙った取り組みとして、新店出店以外にもう一つ取り組んだことがあった。
それが、市場食材を一次加工して品質劣化を防ぐ特殊冷凍をして家庭へ直送する…という食材販売だった。
家庭では、自然解凍すれば鮮度を保ったままの食材が調理する必要なく食べられる。
この販売を、いわゆる外食の専門店でその店を利用する顧客に販売する…というものだった。
例えば、グルメ回転寿司店で鮮魚の刺身を注文して、市場直送で発送する。
その場で販売している鮮魚店や食材店はあるけど、すぐに食べるのでなければ鮮度は落ちてしまう。
一次加工した食材は、冷凍すれば味が落ちる…。
味が落ちない特殊冷凍を利用して…、と当時は結構いろいろ考えた。
細胞保存に利用する医療用の凍結装置があることを知り、それを食材冷凍に使い始めているという話を聞いて、静岡の会社へ見学に行った。
そこで、その凍結装置を利用させてもらうことをお願いした。
取引先の市場食材を静岡の工場へ送り、ここで一次加工して特殊冷凍にかける。
それを全国の家庭に直送するという試みだった。

 

まず、やってみたのは「海鮮おせち料理」。
自社では、創業当時から「おせち料理」販売に取り組んでいた。
この「おせち料理」を海鮮食材を中心にして、自社の回転寿司店で販売してみたのが2005年だった。
この反響がある程度手応えを感じて、2006年には別の地域で販売してみようと思った。
知り合いの同業企業にこの取り組みを話したところ、やってみたい…ということだったので、いくつかの企業さんにお願いして、やってみることにした。
ここで悩んだのが、価格設定…。
販売する企業さんの取り分がある程度の割合がないと、取り組む面白みがないだろう…。
かと言って、初めて取り組むことなので、製造費用もあまり安くはたたけない…。
ということで、動き始めてから自分たちの利益は考えればいい…という考えでとにかく動き始めた。
製造コストの問題もあって、見込数を出してまとめて製造した。
販売できなければ、すべて自分が抱え込むことになる。
関西地方と、中部地方と、関東とで注文を受けた。

 

…そして、売り切れなかった。
見込数を出してもらっていたある知合い企業さんから、まるで注文が入らない。
見込数をしっかり売り切ってくれた企業さんもあったが、結局は売れない企業さんの見込数はすべて自分たちが抱え込んだ。
最初だったので、契約数等の約束事は作らなかった。

 

結局、この取り組みで抱え込んだ損失分…。
数字で出ている赤字分の他に、この取り組みに自分が関わった数ヶ月間…。
この期間、自社の店舗の問題に関わることができなかった。

 

…と、考えてみたら、2005年の夏以降に取り組み始めて、それなりに手応えを感じ2006年には本格的に各地域で販売しようとしたあの時期。
結局、この期間の中で新店も出したし、いろいろやり過ぎて中途半端になってしまった…というのが、倒産の一番の理由だと感じる。
当時は、毎日本当に忙しかった…。

 

12月のこの時期…。
2006年末に「海鮮おせち料理」を抱え込んでしまって途方に暮れていたあの心境を思い出す。
何とかして販売しよう…と、「占い師」の友人が出演していたインターネットTV番組に出してもらって宣伝したり、ここで知り合った番組関係者に協力してもらって、お笑い芸人の番組に商品提供をして番組内で食べてもらったりした。

 

…考えは悪くなかったと今でも思っているのだが、過去に冷凍技術を利用した商品開発で、自然解凍だけで美味しく食べられる商品の成功事例がないように思う。
冷凍寿司とか、過去にも挑戦した企業があったが、なかなかうまくいってない。

 

…まあ、今日の朝、「もう年末だ…」と思ったら、そんなことを急に思い出したので、忘れないうちに書いておこうと思った。

 

 

(2009年12月14日発信)


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