THE 倒産!


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自分がやるわけにはいかない…。

ふと気付けば…、ひな祭りじゃないですか…。
自分にとって、ひな祭りは、寿司が1年で2番目に売れる日…。
特に田舎の地域に行くほど、この傾向がハッキリ出たことを思い出す。

 

そんな今日は、今の仕事は休み…。
で、先日連絡をもらっている、閉店した店の周辺を見に行って来た。
この地域に行くのは何ヵ月ぶりだろうか…。
閉まっている店の外観を見て、もしやろうとする人がいれば、看板と外観でどの位の費用がかかりそうか…といったことをイメージしてみる。
そして、周辺の状況を見てみる。
昼食に立ち寄った店で、思いがけず昔の社員さんに声をかけられる。

 

「社長ですよね!?」

 

驚いた…。
お互いの近況を話したが、傍にいた奥様は軽く挨拶を交わしただけで、一言も話さなかった。
旦那のいた会社が倒産…。
当時、どんな心境だったのだろう…。
その倒産した会社の社長が自分だ。
…恐らく、嫌な思い出だろう。
しばし話して別れたが、その後すぐに自分の携帯に電話が入る…。

 

「社長、もしかして、あの店をやろうと思って見に来てたんですか…?」

 

「いや、やろうとは思ってないんだけど…。地主さんからは話を聞いていて、見にも行かずに断ったのでは地主さんに悪いので、周辺状況だけは見に来たんだけどね…」

 

「もし、社長がやるのであれば、お手伝いできることがあれば…、と思って…」

 

電話でそう告げられたが、恐らく電話をかけている傍には奥様もいるだろうに…。
どう思っているだろう…。
もし彼本人がその店を借りてやりたいのであれば、地主さんに話をしてみれば…ということを話したが、そういうことを望んでいるのではないらしい。
あくまでも、自分がやるのであれば…と言われて、何とも申し訳ない気持ちになった。
2年半前に倒産処理をして、あれだけみんなを不安な思いにさせた自分なのに…。
そんな自分のことを今でも「社長…」と呼んで、もし何かやるなら手伝う…とのこと。

 

でも、今は自分は動けないので…。

 

夜には、食材会社さんから電話が…。
先日、この店のことをちょっと話していたのだが、「採算が合う計画なら、ウチは全面的に協力します…」と言う。
この食材会社さんは、取引先としては一番債権額が多かった業者さんなのに…。
驚いた…。
自分はやることはできないので、この食材会社さんが賃貸契約をしてやってみたら…ということを話した。
ここでも、この業者さんは、自分が関わるなら…ということを言われていた。
会社倒産ということで、大きな迷惑をかけた…、自分がその張本人なのに…。

 

どうして、みんなそんなに優しい声をかけてくれるのだろう…。
ありがたい…、と同時に、申し訳ない気持ちだ。

 

この業者さんは自分が作る数値シュミレーションを信頼している様子なので、ちょっと収支計画を作ってみることになった。
ただ…、今日周辺状況を見て、非常に難しいと思った。
安易な数字は出せないので…。

 

「やる」か「やらないか」という選択では、「やる」と一歩踏み出す勇気が必要だと言われるが、今のような時代で、一度大きな失敗を体験している自分は、「やらない」という勇気も実に大事なことだと感じている。

 

 

(2010年3月3日発信)


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