THE 倒産!


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「禿げ」と「白髪」の再会

昔から行きつけの床屋さんへ…。
自分の倒産手続直後は、話す話の内容でギクシャク感があったが、今ではもうほとんど普通に会話をしながら散髪している。
床屋さんも、聞いてはまずいと思われる部分は心得ているようで、前の会社のことに関してはあまり深くは聞いてこない。
お互いに、会話のポイントがわかってきていて、以前と同じように安心して散髪できるようになった。

 

今日もいつものようにお互いの趣味である野球の話をしていると、店にお客さんが入って来た。
鏡を通して目に入って来たそのお客さんの顔は、…!!知っている人だった!
その人も、この床屋さんの常連客のようで、「おはよー!」と大きな声で挨拶しながら、鏡を通して見ている自分と目が合った。
お互いに沈黙の数秒間…。
「…これは、これは、ご無沙汰してます」
その人から先に声を発した。
自分も「…こんにちは。お久しぶりです」と答えた。
この人は、倒産時の取引業者の社長さん。
債権者だ…。
自分の頭の中では、一瞬にしてこの業者さんの債権額を考えた。
…確か、この業者さんの額は20万円以下の金額で、少額債券として優先的にすぐに全額が支払われたはずだ。
営業を引き継がれた店舗での取引も継続された業者さん…、ということを思い出し、ホッと一息。
自分の倒産処理によってかけた迷惑は、大きくはなかったと思われる業者さんなので、大丈夫…と。
とは言え、倒産後久々の再会で、しかも床屋さんで隣同士に座ってお互いの鏡を通してチラチラと視線が合う…。
何とも変な気分だった。

 

散髪中、この人の頭に円形に禿げている部分が発見されたらしく、床屋さんが手鏡で見せながらあれこれと話して盛り上がっている。
隣に座っている自分も無視する訳にもいかず、話を聞きながらうなずいたりしていたが、こうなってくるとお互いに言葉を交わさないのも不自然な雰囲気…。
ちょうど白髪染めをしていた自分を見て、「●●さんは染めてるんですか?」と話しかけられる。
「ええ、染めないと白髪だらけで真っ白なんですよ…」
「そんなふうには、見えないなぁ…」
等々…と、あたり障りのない会話をした。

 

しかしまあ、最近こうして自分の倒産に関係する人に会うことが多い。
自分の行動が、以前の行動に戻ってきているからだと思うのだが、債権者に会うとやはりドキッとする。
今日のところは、お互いの「禿げ」と「白髪」の話題で、なごやかに済んだが…。
今後、迷惑をかけた割合の大きな債権者に会ったら、どう話せば良いのだろう…。
何人か…、そんな債権者の顔が浮かんできた…。

 

 

(2010年3月17日発信)


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