その 2


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2. カウントダウンが始まる時

 

倒産へ向かっての傾向は数年前から出ていた。
営業店舗の中に赤字店舗が出てきて、こうした赤字店舗に手が付けられなかった。
と言うのも、赤字店舗に共通していたのは、過去に大きな利益獲得をしていた店舗で、その売上の作り方こそが、自社店舗が創業時から作り上げてきた特徴であった。
特別なイベントがある時期に、大量の持ち帰り商品の注文を受けて大きな売上を獲得する。
大量注文に対しての対応が可能であり、同時に店舗における店内飲食の営業も行う。
もちろんこれに対応するために、それなりの人員を常時配置して営業に当たっているわけで、人件費がかかるやり方になる。
それでも、そんな人件費をかけるやり方でもそれを大きく上回る売上が獲得できていたので、大きな注文が来ているうちは、問題なく大きな利益が獲得できる店舗だった。
しかし、そんな注文が徐々に少なくなっていった。
周辺にできる大型スーパー等が、こうした持ち帰り商品に力を入れ始めると、お客様側での使い分けがされるようになってきた。
一気に注文が減ったのではなく、それなりに良い商品が欲しい時には自分たちの店舗に注文をくれるが、安く済ませたい注文の時はスーパー等に注文する。
こうして、徐々に大量注文が減っていったのだった。
それでも、時々入る大量注文に対応するために人員は確保しておくしかなく、人件費を高くかけるやり方のまま、売上が徐々に減少していった。
こうなってきた時に、減ってきた売上に合わせてやり方を変えていくことを選択するか、現在のやり方に見合うだけの売上確保を目指すか…。
本来は、やり方を変えなければいけないのだが、過去の大きな成功体験を持っている集団であると、これがなかなかできない。
売上がすべてを解決する…という考え方を前面に出して、様々な手を打って売上を上げようと動いていく。
でも、周辺状況が変わっていて、その地域のお客様が生活の中で利用する店舗が変わってきている時に、やり方を変えずに過去のような利用をしてもらおうとするには無理があるのだ。

そんなことは経営者個人としてはわかっていることではあるのだが、集団となった場合に集団全体の意識を変えることが何とも難しいことがある。
特に創業時代の成功体験を持っているベテラン幹部が多く携わっている集団を、創業者を継いだ後継経営者が動かそうとした場合には…。
自分の会社の場合、創業者が父親で、父親の兄弟が8人いて、そのほとんどの方々が協力して立ち上げた会社であり、過去において大成功の体験を持っている親族の方々が旧来の営業形態で運営している店舗の中心に配属されていた。
こうした旧来の営業形態の店舗が、損益数値が悪化してきた時に、そのやり方自体を根本的に変えなければいけなかったのだが、どうしてもそれができなかった。
結果、やり方が変えられない以上、売上獲得を目指して打って出るしかない状態になる。
打って出たとしても、その結果はある程度予測はつくのだが、打って出ることでしか集団全体が一致団結することができないような状態になっているのだ。
打って出ることで集団がまとまるのであれば、最初の段階ではそれを選択するしかなかった。
そうして打って出ることを続けていても、過去のようにはいかないという現実を何度か味わう中で、その後に大きくやり方を切り替えることを理解してもらうしかない…と、そう思っていた。

 

 

(2014年11月4日発信)


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