THE 倒産!


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26.異様な競合

 

2005年6月、「すし伝説 渋川入沢店」がオープンして、すぐ近くにある「創業店」の売上は落ちた。
これは想定済みのことで、この新店オープンを機に、「創業店」は回転寿司店としての営業は止めて閉店…、というメインバンクとの約束だったのだが、ここに来てまた創業親族の方々の反対の声が噴出した。
家族経営で始まった会社が変わっていこうとした時に、様々な反対意見が出ることはよくあることだが、自社はこの問題でずっと停滞してきた感があった。
自分がこの会社に来てから10年が経っていて、この間ずっとこの問題が一番の悩みとしてあったことは事実だった。
自分としても、押したり引いたりしながら対応を考えて関係を取ってきたつもりなのだが、ここまできてしまうと自分としてもどうにもできなかった。
そこで、メインバンクにも協力してもらい、親族を集めた話し合いの場で金融機関からの意見としてその見解を話してもらうことにした。
金融機関の本店営業部長、融資担当者、他錚々たるメンバーに何人も出席してもらって、現在の会社に対する見方と、今後の支援においての条件として、親族関係者の関わり方について話をしてもらった。
7月決算である自社においては、失敗店舗となった「伝説の江戸前茶屋」出店に取り組んだ2004年7月期の決算から再度業績が悪化していた。
会社が一本化できないのであれば、今後の支援はできないということについて、この場でハッキリさせたのだ。
この場にいた親族からも、あれこれと意見が出たが、今は会社の考え方を一本化しない限り、先へは進んでいけないのだということを伝えた。
それでも、これまで長年に渡って驚異的な売上を作ってきた「創業店」を、何とか今後も営業が続けられるようにできないか…という声が出て、店舗としての営業は止めても、寿司セット等の持ち帰り寿司専門店として、しばらくは営業を続けるということが提案された。
実際「すし伝説」オープン後も、持ち帰り寿司の注文は「創業店」を利用するお客様が多くあり、「創業店」の持ち帰り販売における売上額は以前とそう変わらない売上を上げていた。自分としてもこれまで会社を築き支えてきた創業親族の方々との関係をもうこれ以上悪化させることには耐えられなくて、店舗としての役割をハッキリ分けた形であれば、それぞれの店舗がそれぞれで成立できるのではないかと考え、メインバンクにこの形態で2店舗の営業継続をしていくことを説明したのだった。
あくまでも、回転寿司としての営業は新しい「すし伝説」であり、「創業店」はこれまでの注文の流れを継続するための持ち帰り専門で営業するという形をとっていくこととなっての営業継続だった。

 

しかし、こうして新店である「すし伝説 渋川入沢店」と「創業店」が同時に営業を続けていくことは、地域のお客様から見れば何とも分かりづらく、だんだんと持ち帰り専門店という営業形態もどっちつかずになっていき、同じ地域で同じ会社の二つの回転寿司店が営業しているような異様な状態になっていってしまった。

 

 

(2014年12月2日発信)


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