THE 倒産!


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28.評価された時には、転落が始まっている…。

 

2005年から2006年にかけて、各店舗においては利益が取れる店と赤字店舗とがハッキリ分かれている状態になっていて、会社全体としての業績は徐々に落ちていった。
こうして会社としては、非常に大変な難しい時期に入っていたのだが、こういう時期に不思議なことに自分が経営者としてチヤホヤされ始めるのだ。
講演を依頼されたり、母校の学校から名誉職を頼まれたり、若い成功経営者として取り上げられるようなことが起こっていた。
評価される時というのは、すでに一番良い状態の時は過ぎ去っている…。こういうことって、おそらく世の中のいろいろな場面であるのだろうと思う。
会社経営において、大きなピンチを迎えている現実とは相反するように、いろいろな場で自分が持ち上げられてチヤホヤされる環境に、自分自身も勘違いしていくような場面があったかと思う。
事態はそんなことに浮かれている時ではなく、抜本的な手を打たねばならない時であったのだが、周りから持ち上げられ始めている自分にはそうした厳しい行動ができなかった。

 

業績が良い店舗としては、「すし伝説 前橋岩神店」や「うらしま沼田店」が好調で、順調に利益を稼ぎ出していた。
某ベテラン有名タレントが伊香保温泉に行った時に…という話で、「カルビ伝説」という焼肉屋と、「すし伝説」という回転寿司があって、あの社長に会ってみたいという話をラジオでしていたとか、そんな話も伝え聞いた。
自分としても、各店で様々なイベントを企画して何とか全体の売上向上を目指していた。
マグロ解体ショー等の臨場感を表現した販売方法や、特別クーポン券のローラー作戦販売等でお客様を集めたり、店舗で注文を受けた新鮮食材を市場から直接ご自宅に配送する食材販売にも取り組んで、お客様に様々な利用機会を提案していった。
こうした販売方法や、売上好調な店舗を引き合いに出し、これまでのやり方で苦戦している古い店舗を改革していく…という改善計画を作成して、現段階は様々な要因が重なってその実行が遅れていることを某メガバンクの担当者に説明したところ、無担保で億単位の金額を融資してくれた。
この時は、出してもらったこちらの方が驚いてしまって、どうしようか…と思った。
自分を後ろから支えてくれるこうした環境がある時に、経営者として大きな決断や行動ができなかったことが悔やまれる。
結局、自分はこうして得た融資を有効に使うことができずそのまま持ち続けてしまい、資金があるがゆえに不振店舗に大ナタを振るうでもなく赤字補てんと運転資金として注ぎこんでいってしまうのだった。

 

2006年には、高崎市にできる大型ショッピングセンター(SC)から出店の話が来た。
自分としてはこの段階での出店はあまり意欲的ではなかったのだが、取引のある飲料メーカーさんがこの大型SC本社に熱心に推薦してくれて、とりあえずは話を聞きに本社のある千葉県幕張を訪ねたのだった。
その後すぐに開発担当者が自社に来て「あの店でお願いします…」と、「すし伝説 前橋岩神店」を指定して言ってきた。
と同時に、「ウチに出店するのだから、1店舗で終わるとは考えないでください…」と、今後続けて出店することを考えておいて欲しいということを言われた。
会社全体で考えれば非常に難しい状況になっていたが、店舗ごとに見れば評価して頂ける店舗が複数あり、会社を再浮上させるチャンスは次々に現れていた。
出店に関する金融機関からの融資協力も受けられた。
絶対に何とかしようと思っていたし、何とかなると思っていた。
こうして、高崎市にできる大型SCへの出店が決まった。

 

 

(2014年12月4日発信)


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