THE 倒産!


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29.起死回生を狙っての大失敗

 

大型SCへの出店は、いろいろな面で刺激を受ける出店だった。
200を超える専門店が出店し、言ってみればそこに街ができるわけで、いろいろな決め事、ルールがある中で、それぞれが工夫して魅力的な店を作ろうとしていることが、参加していて楽しかった。
自分たちも他の店にはない魅力を表現したいと思っていたし、全国各地の大型SCに出店している回転寿司店を見てまわって研究した。
決められた面積の中でどうやって店舗を作っていくか、その中でどんな魅力を打ち出していくか…。
いろいろな経営者の方との交流も刺激的だった。
こうして、2006年10月「すし伝説 ●●●高崎SC店」はオープンした。
けれど、「すし伝説」が3店になって、この店の魅力となっている部分が薄れていくことを感じていた。
この店は、メンバーによる営業の中での販売方法、パフォーマンスで表現する“臨場感”に特徴があった。
こうした部分は、個々の人の魅力であり、マニュアル化しづらい販売方法だった。
その日、その時のメンバーの組み合わせで、店の雰囲気が違って感じることが多くなってきた。
「前橋岩神店」から、「渋川入沢店」「高崎SC店」と店舗が増え、力のあるメンバーを分散させることが必要になり、それに伴って少しずつ店の雰囲気が変化していった。
もちろん、新しく入るメンバーもどんどん増えて頑張ってくれているのだが、少しずつ変化していく店の雰囲気を感じて、このやり方の難しさを改めて感じていた。
それでも、既存店の売上低下の流れが止まらない中で、このやり方を進めていくしか方法がなかった。
同時に、会社の核となる新しい販売方法を何とか早く確立したいと思ってのあせりが強くなってきていた。

 

2006年年末には、「総合センター」で毎年販売している年末商品・おせち料理販売で、これまでの自社センターで作り近隣顧客を対象として販売する方法から、取引のある卸売市場内の食材会社に協力してもらって産直の市場食材を使って製造し、そこから全国配送する販売方法に切り替えて取り組んだ。
この方法だと、一気に全国へ販売が可能で、自社の特徴を打ち出した商品が出来れば、大きな売上が見込めると考えていた。
この年は、知り合いの外食企業さんに話を持ち掛け、近畿地方と中部地方で1社ずつこの販売方法での年末商品・おせち料理を取り入れてもらった。
自分の中では実験的な考えもあったので、特に販売における契約書を作るでもなく、あくまでもお互いの話し合いの中で行ってみたのだった。これがうまくいったなら、翌年には大々的に販売に取り組むつもりだった。
ところが予約受付を始めてから、ある会社からかなり大量数の注文に対応できるかとの問い合わせがあった。
その数は金額にすると数千万円になるということで、それが可能であればすぐにその企業で注文を取り始めると言うことだった。
食材は確保できそうだったので、大量注文に対応できる準備に切り替えて製造の指示を出し、先方に注文対応可能の連絡をした。
この年は実験的にと考えていたのに、途中から一気に大量販売を狙う形に製造ラインを作ってしまったのだ。
突然やってきた大量注文の話に、会社業績を一気に立て直す絶好のチャンスだと思い、積極的に挑戦しようとゴーサインを出し突っ走った…。
ところが、準備製造した数の予約はまったく入らずに、大量の商品が余ることになってしまった。
2006年12月末、栃木県の製造センターに自分も行って発送作業済ませた後、冷凍倉庫の中で大量に積み上げられて残った製造商品を見ながら茫然としている自分がいた。
頭の中では、今後の資金繰りの数字が駆け巡っていた…。

 

こうして年が明け、運命の2007年に入って行くのだった…。

 

 

(2014年12月5日発信)


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