THE 倒産!


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4.大成功の要因

 

創業店が大成功した要因を考えると、まずは1981年当時地域に外食産業と呼べる飲食店がなかったことが大きいと思われる。家族で食べられる美味しい寿司が手軽に手に入るという地域のお客様のニーズにピタリと合った店ができたことで、お客様が殺到した。
これを父親の兄弟を中心とした親族が、無謀とも言えるようなお客様からの要求を断ることなく、すべてに対応していった。突然の大量注文であれ、営業時間外の注文であれ、深夜、早朝を問わずお客様からの要求を受け入れた。
これは家族的な集団だからこそできたことで、到底他所の店では真似のできないことだった。
関わった創業親族の方々が、自分たちの生活のすべての時間をこの店のために使って、大繁盛店は作られていった。
こうして、地域における圧倒的な注文を受ける店になっていったのだ。
もちろん、寿司が美味しくなければお客様の支持は得られないのだが、ここでは父親の考え方が実に明確に表れていた。
「良い食材を使う」というごくごく単純明快なこの考え方が根本にあって、同じ材料であれば仕入れ値の高い食材を使うことを実践していた。
そして、お客様が絶えず殺到している営業状態が続くと、そこで提供される商品は自然と良い状態のものがどんどん提供される流れができるのだ。
食品は何であれ商品として作り出された時が一番良い状態なわけだ。これが時間と共に劣化していく。
作ったその場からどんどんお客様が買ってくれる状態があれば、それは余計な心配をすることなく、どんどん美味しい商品が作り出され、提供される流れになるのだ。
飲食店は混んでいる店の方が確実にうまいのは、こうした良い流れが自然とできているからなのだ。

 

こうなってくれば、競合店のほとんどないこの地域においては圧倒的な選ばれ方をする店になり、この圧倒的な支持があれば原価率だとか人件費率だとかそんな細かいことは一切考えることなく、ただひたすら良い食材を仕入れて、家族中心の従業員みんなで一生懸命に商品を作り続けることで、全国の同業者の方々が驚くような売上を作り出す店が自然とできていったのだった。

 

しかし、こうした大成功の基となっている部分が、やがて状況が変わった時にはすべて逆に作用していくことになるのだが、絶好調の時にはそんなことにはまったく気づかなかったのだ。

 

 

(2014年11月8日発信)


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