THE 倒産!


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39.法的整理に向けて…。

 

2007年11月14日、水曜日…。
自分の気持ちは、「法的整理」をするとの気持ちに固まっていた。
問題は、どのやり方でいつ実行するかということだ。
事実上の倒産処理になるので、事前に金融機関にこの情報が洩れれば、最大債権者となる金融機関は会社資金の回収を一気に進めて、事は頓挫してしまうだろう。
考え方の根本にあるのは、店舗の営業を継続すること。
営業が継続できれば、関係者には一時的に迷惑をかけることになるが、その後の従業員の雇用も確保できるし、仕入業者さんとの取引も継続できる。
迷惑をかける方々に対する影響をできる限り小さくしたかった。
実際、それぞれの店舗を見ればしっかり利益を獲得している店舗が複数あるし、赤字店舗にしても法的整理によって抱えている初期条件が緩和されれば充分利益獲得が可能な店舗だった。
こうした諸々の条件を含めて進め方を考えるのであれば、「民事再生」ということになる。
裁判所に「民事再生」を申し立て、会社資産に対する保全処分を受けて、店舗の営業を継続しながら再生スポンサー企業を探す。
再生スポンサー企業が決まるまでの間は、仕入業者さんから現金で仕入をして、店舗の売上でやり繰りしていく。
スポンサー企業に営業店舗を買い取ってもらって、会社が抱えている負債はそのまま会社に残して倒産処理をすれば、店舗の営業と従業員の雇用、仕入業者さんとの取引は継続される。
例えれば、抱えている荷物が重すぎて沈みそうな船から、助けられるものをみな新しい船に移し替えて事業を継続するやり方を考えていた。
再生スポンサー企業が見つかるまで、どうやり繰りするかという部分さえ見通しが立てば…、と思っていた。
従業員の給料を確保しておきたかったので、ある程度のお金を持った状態で動かないと、途中でやり繰りができなくなってしまえば、その時点ですべての計画は止まってしまう。
動き始めてしまえば、どんなことが起こるかはまったく予想できない。

報道されるニュースによって、お客様が来なくなるかもしれないし、従業員が来なくなるかもしれないし、業者さんが品物を入れてくれなくなるかもしれない…。
こうした店舗が営業できない事態が起これば、その時点で営業を続けながら整理をするという方法は崩壊する。
それを避けるためには、会社にお金がある時に動くしかない。
こうした申立後のことを考えて、いつ実行するかの時期を考えていた。
これから準備を始めるということと、会社に一番お金がある時というのは…、年末年始の営業を終えてすぐ、…だ。
この年の年末年始の曜日の並びを見ると、金融機関の営業が止まっているであろう期間が例年よりも長くて、この期間の売上を銀行に入金せずに自社で持ってることで、かなり大きな資金を持てることになると思われた。
これであれば、年末の金融機関の業務が終わるまでは普通にいつもと変わらない営業を続けていき、いつもと変わらない営業を続けていれば、金融機関には気づかれることなく年初に倒産処理申立てをすることができる。
手元に年末年始の店舗の売上金を持って動いていけるので、従業員の給与も確保できるし、倒産処理申立て後の営業も仕入業者さんが現金仕入れに応じてくれれば、通常通りの営業が続けられる。
この時期の申立てが、成功の可能性が一番高いだろうと思った。

 

が、しかし…、よくよく考えてみて、年末年始の食材をまとめて仕入れた後の申立てになれば、仕入業者さんにかける迷惑は大きくなる。
そうでなくても、12月の仕入れ量は1年で一番大きな金額になるわけで、これを仕入れた後に倒産処理を申し立てるのは、仕入業者さんに対する大きな裏切りだ。
倒産処理を申し立て、保全処分を受ける以上、結局は取引先に対しての裏切り行為に変わりはないのだが、それでもできるだけかける迷惑は少なくしたいと思っていた。
自分にできることは、その位しかない…と思った。

 

こうした様々なことで頭の中をいっぱいにしながら、紹介してもらった弁護士事務所を訪ねた。

 

 

(2014年12月15日発信)


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