THE 倒産!


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46.受け止めるしかない…。

 

2007年11月27日の夕方に裁判所へ民事再生申立に関する書類一式を提出し、その後すぐに会社に戻って、幹部社員に話をした。
裁判所では提出された書類に不備がなければ、民事再生申立として処理し、翌11月28日には法的な保護となる保全処分、監督命令が出される。
これにより、会社内にある物品や金品の持出し禁止、過去の取引に関する支払禁止等の保護処置となり、監督機関の管理の元で再生へ向けての動きが始まることになる。
自社の場合は、再生スポンサー企業が営業可能な店舗を引き継いで、経営自体を移し替えるやり方を取ろうとしていて、実質上の倒産処理となる。
幹部社員には、再生スポンサー企業もほぼ決まっているので、落ち着いて通常と変わらぬ営業を続けていくようにと伝えた。

 

弁護士事務所からは、再生スポンサーとして手を上げてくれた企業さんへの連絡が許可された。ここまでは企業名等の話は聞いていても、直接連絡をすることができなかった。

 

翌日、2007年11月28日、水曜日…。
午前中、創業親族関係者の方々に話をした。民事再生申立をしたということを伝えたが、親族のおじさん、おばさんたちにしてみれば、どういうことか理解できなかったような反応だった。
これからどうなるのかがまだわからない以上、この場では伝えることだけしかできなかったし、自分もゆっくり話をする時間も取れなかった。
昼から、再生スポンサー企業さんと初めて会った。
この企業さんが新会社を作り、その新会社で営業継続可能店舗を買い取るとのことで、この新会社の社長さんとなる方と話をした。
自分としては、スポンサーとして手を上げてくれてことへの感謝の気持ちを伝え、今後のことを頼んだ。この時に、自分にも引き継いだ会社に残って欲しいということを言われたが、ハッキリした返答はできなかった。
とにかくまずは、民事再生申立後の再生へ向けた動きを進めていくことができるかどうかが自分の一番の心配だった。
このニュースが世間一般にどう流れるかによって店舗の営業に影響が出るような事態が起これば、こうした計画自体が止まってしまうこともある。
それだけは何とか避けたかった。
店舗の営業継続の道はできたけど、果たしてお客様は来てくれるだろうか?従業員の皆は勤務を続けてくれるだろうか?仕入業者さんは取引を続けてくれるだろうか?…こうした問題をクリアしていかないと先へは進んでいかないのだ。
弁護士事務所から、民事再生申立が裁判所に受理され保全処分と監督命令が出たとの連絡が入って、自分の動きが本格的にスタートした。
これで、翌日に全取引先に通知をしてニュースとして伝わり、新聞に載るのは翌々日朝刊になることになるということがわかった。とにかく、ニュースの伝わり方、報道のされ方が心配だった。

 

午後からは各店舗をまわっていき、全社員に説明をした。驚く人、涙を流す人、…反応は様々だったが、自分は淡々と冷静に話をしていくことだけを心がけた。
再生スポンサーが決まっているので、店はなくならないから、心配しないようにということを、繰り返し繰り返し話していった。
この段階になって、いろいろなことの意味がわかってきた創業親族の方々の中からは、やはり激しい罵倒もあった。
覚悟していたことではあったが、こうして強い言葉で叱責されることは、やはりつらかった。
創業から携わってきた人たちにとってみれば、店に出ていることが本当に生活のすべてだったわけで、自分は何をどう言われても受け止めていくしかないと思っていた…。

 

 

(2014年12月22日更新)


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