THE 倒産!


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守られる従業員と、守られない業者さん…。

「民事再生」とは、法的に守られる部分を作って、そこで守られながら再生を目指すことになる。
本来、支払わねばならない支払いをすべて棚上げにしてしまい、会社にあるものについては法的に守られる状態を作る。
したがって、支払いが重なる日の前に申し立てを行うことが多い。
自分の会社の場合は月末だった。

 

この申し立てによって、裁判所から保全命令が出て、この時点で会社にあるものは法的に守られる。
それでありながら、払わないといけない支払いはしない。
業者さんの中には、支払いしないなら…と会社にあるモノを引き上げに来る所もあるのだが、法律で守られているので、こうした行為をした場合はそれなりのペナルティがある。
業者さんにとっては、泣き寝入りするしかない。
業績の良い業者さんであれば良いが、苦しい企業さんにとっては大問題だ。
連鎖的に倒れてしまう企業さんが出る場合もある。

 

自分の申し立てた「民事再生」によって、数千万円の売上が棚上げになった企業さんが数社ある。
本当に申し訳ないことなのだが、どうにもできない…。
数週間後、いつも納品に来ていた担当者に会ったので話をした。
…会社を辞めるということだった。
自分には言わないが、ウチの問題で扱い量が激減する中での解雇のようだ。
話を聞きながら、胸が締め付けられる…。

 

そんな中で、守られるモノとして、従業員の給料がある。
「民事再生」を申し立てた企業で働く従業員さんの給料は最優先で確保されるのだ。
自分にしてもそうだが、経営者はギリギリの判断の中で、働く従業員さんの生活を守ることを考えて、こうした手続きを取る。
でも、その手続きによって、取引業者さん側に大きな被害が及ぶ。
守られた従業員さんももちろん不安なことはたくさんあって、そんな状況を作ってしまった経営者としては本当に申し訳ない気持ちなのだが、取引業者さんの従業員さんに自社よりももっと大きな迷惑がかかっていることを知ると、複雑な気持ちになる。
自社の従業員さんの中から、次には今後の給料が下がるのかどうなのか…?という申し出が次々に出てきたりする。

 

経営者は、自社の従業員さんの収入を守ろうとして、こうした手続きを取る。
そうして、周りの取引先に大きな迷惑をかけながら、自社の再生を目指す。
再生に向けては、今までとは違う頑張り方をしなければ、成り立たないのだ。
でも、自社の中からは現在の自分の立場を守ろうとする主張が出たりする。
不安であることはわかるし、そうした状況になってしまったことは本当に申し訳ないと思う。
でも、現状の収入はひとまず確保され、雇用継続も約束されていて、その上で次の個々の要求を求めようとする声が聞こえてきたりすると、正直つらい…。
人の欲求は、どんどん度合いが上がっていくものというのはわかっているが、自分の周りを見回してみればいろいろ気付くことがあると思うのだが…。

 

難しいものだ…。

 

 

(2007年12月20日発信)


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