THE 倒産!


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「荷」を降ろした人と、その「荷」を背負った人

取引先の社長さんに呼ばれて行ってきた。
今回の民事再生で一番被害額の大きかった仕入先だ。
額にして数千万円…。
でも、この社長さんは申立のドタバタの中で、自分の話を聞いて「頑張って…」と応援してくれた社長さんだ。
その後、譲渡先の企業でも仕入をメインでお願いしていて、本当にありがたい取引先だ。

 

今回話に行って、その様子がおかしかった。
神妙な顔つきで、「こうした法的手続きに対して、我々業者はどうにもできないとは言え、やはり納得できない…」と言われた。
…言いたいことはよくわかる。
数千万円というお金が回収できなくなった訳だ。
それも入金日直前の申立で、その納品先に対して手を出すことができない。

 

金額が金額だけに、その場では自分に対し励ます言葉をかけてくれたが、時間がたって考えていけば、実に大きな損失だ。
会社が勢いがあってあふれるように利益を作り出している企業なら良いだろうが、今は中小企業は軒並み大変な時だ。
あのお金が入っていれば…と思うのは当然だ。
時間がたっても業績が厳しい時には常に思い出すのかもしれない。
自分としては、申し訳ない…という気持ちを伝えるしかできない。

 

詳しくいろいろな話を聞くと、どうも現在の取引先の中に危険を感じている会社がいくつかあるようだ。
掛売りで商品を納めて、支払を待つスタイルである以上、納品先次第で連鎖的に倒れる恐怖が常にある…。
しかも、大きな損害を受けたすぐ後だけに古くから付き合いのある企業に対してどう付き合っていいのか苦心している様子だった。

 

経営者の背負う責任…。
自分もその苦心の中で、背負っている責任という“荷”を降ろす決断をした訳だが、そうして自分の背中から降ろした“荷”は、誰かの背中に乗ったのだ。
自分はそうした責任という“荷”を降ろして、精神的に楽になった感があるのだが、こうして周りで苦しんでいる人の姿を見ると、またいろいろ考えてしまう。

 

一度“荷”を降ろした人には、次にはなかなか“荷”を背負わせてはくれない。
それで楽だ…と感じる人もいるだろうが、自分はまた違う感じ方をしている。
人が疲れて、困って、降ろしてしまった“荷”をどんどん背負っていく人もいる。

 

一度降ろしてしまったからこそ、感じたこと、経験したことを今後に活かしていかないといけない。

 

 

(2008年1月18日発信)


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