THE 倒産!


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5.成功したからこその悩み

 

父親の創業した回転寿司店は、父親の実家本家の所有する田圃をつぶして建てられた。この土地を担保として金融機関からの融資を受けての創業で、開店後の営業においても8人兄弟の父親の親族一同が参加しての営業を行っていた。
親族全員の人生を懸けた創業であり、だからこそ他所でできないことができた。
一致団結した親族集団の強さが発揮されて、地域での圧倒的繁盛店が築かれていった。
こうして創業店を大成功させた父親は、2年後の1983年に2号店を出店した。
2号店を出店したことで、集団は変化が必要となってくる。
これまでの親族で運営していた家族経営の集団に、外部からの人材が多く参加してくることになった。
父親も企業としての規模拡大を意識し始めて、優秀な人材の採用に積極的に動いていくようになる。
同業大手チェーン企業の幹部経験者を次々に採用し、会社の中心部に置いて家業から企業への切り替えをしようとしたのだが、こうした父親の会社運営に対して創業を支えてきた親族からの異論反論が出るようになる。
新しい組織の下で出店を加速させたいグループと、これまで通り親族で運営していきたい創業親族とがぶつかるような状態になり、父親は会社を分けて出店を増やして企業規模を拡大していくことを目的とする会社を別に作ったのだった。この新しい会社には、外部から招いた幹部を社長として立てて、創業店とはまったく別会社として出店を続けていくようになるのだが、この会社の規模が大きくなると父親の意思とは別にどんどん一人歩きを始めていき、やがては父親が作った店舗の名称とこの会社のスタート時における借入金の連帯保証のサインを残したまま、父親はこの会社から一切の手を引いていくのだった。
こうして、父親はまた創業親族で運営する会社のみを経営する形に戻って、地域に密着した経営を行うことに専念していくことになった。
こうした問題が起こっていた中でも、創業店は売上を伸ばし続けていて、様々な問題を売上が解決していったような時期だったようだが、自分自身はこの期間は東京で学生生活を送っていて、詳しい出来事はよくわからない。

 

自分が父親と一緒に経営をするようになってから、この時期のことを聞いた。
父親としては精神的に随分と悩まされた時期だったようだ。

 

 

(2014年11月10日発信)


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