介護生活 119番!


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放り出されるお父さん…。

老人ホームに入居している方で、何度も何度も「帰る!」と言っては騒動を起こしているおじいちゃんがいる。
先日は、デイサービスから脱走した。
フラフラと外に飛び出して行って、「帰る!」と言ってきかない…。
最後には力づくで引っ張ってきたが、道を通る人に「助けてくれ〜!!」と叫んでいた。
元々は、週末には家に帰れるという話で入居したようなのだが、この週に1度の帰宅に家族が耐えられなくなって、「もう帰さないでくれ…」という家族の要望に沿ってずっと老人ホームにいるようになった。
でも、本人としてはこれに納得がいかない訳だ。
「騙された!」とか、「警察を呼べ!」とか、騒ぎ出すと手が付けられないのだ。
で、今日家族に来てもらって、ハッキリと本人に今の状況を伝えてもらうことになった。
奥さんに言わせれば、このおじいちゃんは、若い頃家庭のことはほとんど何もしなかったと言う。
奥さんが言うには、何を今になって家に帰りたい…だなんて、と言っている。
息子と娘がいるが、この二人も子供の頃何もしてもらっていないのに、面倒をみるつもりはない…というようなことをハッキリ言っているのだ。

 

これから、こうした問題は増える一方だろう…。
高度成長を支えた世代には、お父さんとして家庭を顧みずに仕事に没頭した人が多いだろう。
いざ、こうした世代の人が介護が必要になった時に、家族から放り出されてしまう…。
家族とのしっかりした関係が築けてないのだ。
放り出された本人にしてみれば、「俺の家だ!」「俺が働いたから生活できたのだろう!」…等、と言ってみても本人が認知症になったりすれば、もうどうにもならない。

 

このおじいちゃんは、今日の夜に奥さんと息子さんが来て話していた。
しばらく怒鳴り声が聞こえていたが、最終的には我々職員も家族側に立ってこのおじいちゃんを説得するしかない…。
家族が帰った後、おじいちゃんは黙って布団に座っていた。
家族が来て、一緒に帰るつもりだったおじいちゃんは、ジャンバーを着て、荷物もまとめていた。
黙っているおじいちゃんにかける言葉もなく、そっとしておいた…。

 

大丈夫だろうか…。
明日は、元気になっているだろうか…。

 

 

(2010年12月23日発信)


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