介護生活 119番!


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『骨』の話…。

デイサービスを利用しているおじいちゃんで、元大学教授の人がいる。
名前をネットで検索すると、いろいろ活躍をしていた人みたいだ。
今はかなり認知症状が進んでいて、歩くのもフラフラしているのだが、時々鋭いことを言う。
そんなおじいちゃんを迎えに行き、車で二人で話していた。
ふと、おじいちゃんが昔スキーが好きだった…という話になり、「今はスキー場もお客を集めるのに大変だそうですね…」ということを語り始めた。
自分が、「スキーだけじゃなく、スポーツをする子自体が少なくなっているでしょう…。今の子は、何でもゲームでやってるんですよ…。本当の体験じゃなく、ゲームで体験してやったつもりになってるんですよ…」なんていうことを話した。
おじいちゃんは、「本当にやってみないと、本当の楽しさはわかりません…」なんてもっともなことを口にした。

 

自分が、「だから、これからの子は体自体が鍛えられてないから、みなさんの世代の方と比べると、体が本当に弱くなっていくと思いますよ…。今の子は骨もすぐに折れますよ…」と話すと、「骨は大切です…。私は骨の大切さについて講義したことがあります…」と話し始めた。
良く聞くと、宇宙空間のような無重力状態の中で、骨がどのように弱っていくか…、という研究をしていたらしい。
そんな話の中から、何が大切って…、「骨」だ…ということになった。
そう言えば、以前読んだ本で、今の人は介護に必要な身体が作られていない…ということが書かれていた。
自分の親を介護するだけの筋力がない人が多い…というのだ。
昔の人は、当たり前にやってきたことが、今の人はできない…。
それは、「教育」の問題だと思っていたが、実は「教育」をしてもその「教育」を受け止めるだけの身体がない…、と言った方が良いのだと思う。
人間の身体もそうだが、これは世の中全体もそうで、政治の世界なんてまさにそんな感じだ。
「考え方」や「思想」はもっともだと思うことでも、それを受け止めて実行していく『身体』ができてないのだ。

 

『骨』が弱いのだ…。

 

デイサービスの送迎で、利用者の認知のおじいちゃんとそんな話を真面目にしてしまった。
認知症だけど、時々鋭い考えを出す元大学教授のおじいちゃん…。

 

「勉強を教えるのではなく、昔の遊びで遊ぶ塾でも作りましょうか?『骨』を強くする遊びの塾…」と言うと、
「…塾。…それは良い考えです。社会貢献になるかもしれません…」と、おじいちゃん。

 

最後におじいちゃんは、「失敗を恐れるのでなく、どんどんやってみるべきです…」と言って、デイサービスに到着した。

 

このおじいちゃんは、遠くにいる娘さんと暮らすことになっていて、今週いっぱいで引っ越す。
おそらく二人で話すことは最後だろう…。
最後にこんな話ができて…、結構刺激的だった。

 

自分のメモ帳に、忘れないように、…『骨』…と、書いておいた。

 

『骨』を強くしないと、どんな良い「考え方」があっても、動けないのだ。

 

 

(2011年1月12日発信)


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