倒産社長!再起への「道」!!


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「私の高校時代…。」その12

初めてのボクシングの試合。それもいきなり決勝戦。
そうでなくても平常心で試合に臨むのは難しい条件の中で、試合直前にトランクスを逆に履いていることを指摘された自分の精神状態は、普通でいられる訳がなかった。
そんな中で、試合開始のゴングが鳴った。
重鎮の大先生から「先に当てろ!」と言われていたパンチは先に当てられ、セコンドの先生から「止まっちゃダメだ!」と言われていた自分の動きはいきなり止まった。
相手のパンチが次々に繰り出され、自分はガードを固めて打たれるままにロープ際にくぎ付けとなった。
不思議なのだが、相手のパンチの嵐を受けている時のことは結構印象に残っている。
ガードの上からのパンチの衝撃と、自分の呼吸音が聞こえていたことが記憶の中にある。
滅多打ちの中で、絶対に倒れるものか!という意識だけはハッキリとあった。
こうして1ラウンドは打たれるがままに終わった。
2ラウンドになり、何とか動いていこうと思って動き始めたことと、強烈なパンチを顎に受けて全身が痺れた。これは良く覚えている。
「パンチが効くって、こういうことか…」と、瞬間的に思った。
でも、そんなことが考えられるのだから、実際には効いたパンチではなかったのだと思う。
それでも、とにかく相手のパンチが止まることなく繰り出されてきて、自分の心が折れていく…、という気持ちの変化が記憶に残っている。
強い気持ちを持っているつもりでいても、過酷な状況が続いて、事態の打開策が見つからない中にいると、気持ちはだんだんと折れていくものだ…、ということを実感した。
確か「ここまで立っていたから、そろそろいいか…」とそんな気持ちが湧いた。
そう思った瞬間に相手のコンビネーションをもろに受けて、気が付くと膝をついていた。

ダウンだ…。
すぐに立とうと思ったこと、立ってセコンドの先生の方を見たこと…。そんな光景をおぼろげに覚えている。
レフェリーの「ボックス!」という試合再開のコールが聞こえ、また一気にパンチを繰り出してくる相手の顔が見えた。
何発か顔面にパンチを受けたところで、レフェリーが割って入った。
試合終了。
レフェリーストップ(RSC)だった。
ボクシング選手としての自分の試合は、こうしてあっけなく終わった。
リングを降りる時、観客席から「やっぱり試合にならなかったなぁ…」という会話の声が聞こえていたような気がする…。
悔しさがなかった訳ではないが、「死ななかった…」という、ホッとした気持ちの方が強く印象に残っている。

 

 

(2015年11月13日発信)


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