THE 倒産!


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この眼で見る!自宅競売開札…。

昨夜はよく眠れなかった…。
裁判所での開札に間に合わないで、結果がわからない夢を何度も見て、その度に目が覚めた。
自宅がどうなるかわからない…というのは、精神的に不安定で、落ち着かないもの。
家族がいて、子供への影響がある場合は、その責任を考えると、苦しい…。

 

そんな今日の自宅競売開札…。
午前10時から始まる開札に、15分前頃裁判所に着いたが、いつも車を停める駐車場はいっぱいで、いつもとは違う場所の駐車スペースに車を停めて、裁判所の開札会場に入った。
会場となっている部屋の立会席はいっぱいで、廊下にも椅子が並んでいてマイクを通して会場の経過がわかるようになっていた。
最初、廊下の席に座ったが、せっかく自分の眼で結果を確かめに来たのだから…と思って、会場内に入って席を探した。
と、前から二番目の席がひとつ空いていたので、「すいません…」と座っている人をかきわけその席に座った。

 

10時ちょうどに、裁判所の係の人たちがやってきて、まず説明を始めた。
「それでは、これから準備に入りますので、10分ほどお待ちください…」と言って、その場で入札書類封筒が入った箱を開け、係員全員(6人)で封筒をそれぞれの競売事件ごとに分けていった。
この間に、立会席に座っている人たちがいろいろな会話をしているのに聞き耳をたてていた。
立会席にいる人たちのほとんどは不動産関係者らしく、
「今日はおたくは…?」
「ウチは、5本…」
等、入札物件に関する話をしている。

 

10分くらい…と言っていたが、封筒の振り分けはなかなか終わらない。
「今日は多いね…」
なんていう声も聞こえてくる。
立会席にいる人たちは、ただ座ってこの作業を見ているだけで、自分としては作業を手伝いたくなるような気持ちになった。
今日の競売の事件番号は、1番から400番くらいまであって、自分の自宅の事件番号はこの後半の番号になる。

 

10時30分に、「それでは…」と最初の入札から発表が始まった。
封筒を開いて、入札額の低い順から名前と金額を発表していく。
最後に名前を呼ばれた人が、最高入札額者となる。
入札者が1件という物件もあるし、20件を超える入札がある物件もある。
一つ一つ発表されていく入札結果を聞きながら、じっと自分の自宅の発表を待った。
他の物件の発表を聞いていると、ほんのわずかの差で落札者が決まっていることがある。
入札者が個人名だったりすると、競売物件の関係者じゃないか…と想像したりする。
不動産会社にわずかの差で取られたりすると、同情感が湧き上がってきたりした。

 

…番号が進むにつれて、緊張感が高まりドキドキだった。
義父の入札額は知っていたので、それ以上の額での入札があれば、引っ越しが決まる。
「転校したくない…」と泣いていた子供の顔が浮かんでくる。

 

11時を過ぎて、自分の事件番号が近づいてきた。
「次は、平成20年●●●●号、○○市△△の物件です…」

 

自分の家だ!
…時間は、11時9分だった。

 

「買受可能額■■■■万円に対して、2件の入札がありました…」

 

2件だ!
他に入札者がないことを祈っていたのだが、入札者があった!

 

入札額の低い方から読み上げるので、最初に名前が出てしまったらダメだ。
鼓動が激しくなり、気が遠くなるような感覚に陥る…。

 

「株式会社▲▲▲▲…」
と、聞こえた時点で、「やった!」と目を閉じた。
義父の入札は個人名なので、ドッと体全体の力が抜けた。
続いて読み上げられた義父の名前と入札額…。
ジワジワと安堵感が湧き上がる。

 

そこから先…、しばらくは記憶にない。
次々に発表されていく入札結果を耳にしながら、椅子に座ったままボーっとしていた。
次に気が付いたのは11時半頃で、自分の事件番号から30番くらい番号が進んでいた。
開札は途中で帰ってもいいのだが、席が前の方の真中だったので、最後の発表までじっと聞いていた。

 

12時頃…。
「以上で本日の開札は終了いたします…」
というアナウンスを聞き、立会席の人たちがぞろぞろと席を立つのと一緒に自分も席を立った。

 

外に出ると雨が降っていた。
傘を持って来ていなかったので、車まで雨に濡れながら歩いたが、ホッとした気持ちと家族に早く知らせたい…という気持ちで、雨はまるで気にならなかった。

 

 

(2009年4月14日発信)


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